外壁塗装にアクリル塗料は使えない?塗料選びのポイントをご紹介!
近年話題のDIYですが、雑誌で特集を組まれたり、テレビで特集を組まれたりと見ない日がないぐらい一般に定着しました。そんなDIYでもよく利用されているのがアクリル塗料ですが、人気の最大の理由はお手軽な価格にあります。今回はアクリル塗料のメリット・デメリットをとおして外壁塗装に使用できるのかを解説しましょう。
外壁塗装にアクリル塗料はNG?
結論からいうと、アクリル塗料を外壁塗装に使用することはおすすめしません。そもそもアクリル塗料とは、アクリル樹脂を主成分とする塗料のことを指します。アクリル樹脂自体は透明な物質で、湿度や温度の変化に強い耐性をもっているのが特徴です。また、アクリル樹脂は加工がしやすいのも特徴。この特徴を活かして現在でもボールペンやコップ、電子部品などのさまざまな用途で使われています。
しかし、塗料としては1950年代ごろをピークに今はほとんど使用されていません。アクリル塗料は費用が安く、発色もよく、商品の種類も多いことから多くの人気を集めていましたが、現在はシリコン塗料やフッ素塗料などの開発・改良が進んだことで、アクリル塗料が使われることが大変少なくなったのです。
アクリル塗料と他塗料の比較
先述したとおり、現在では外壁塗装にアクリル塗料を使われることは非常に少なくなりました。
では現在ではどのような塗料が選ばれているのかというと「ウレタン塗料」は高級感のある仕上がりが特徴の塗料であり、施工費用も1平方メートルあたり2,000円程度とリーズナブルです。しかし耐久年数は8~10年程度と少し短めです。
「シリコン塗料」は現在の外壁塗装の主流となる塗料。人気の理由は、費用と耐久年数のバランスにあります。施工費用は1平方メートルあたり3,000円程度で、耐用年数は10~15年程度です。
「フッ素塗料」はこの中では一番高額となりますが、耐久年数は一番高いのでメンテナンスを考えたくない方に人気の塗料となっています。施工費用は1平方メートルあたり4,000円前後で耐用年数は15~20年程度です。
外壁塗装にアクリル塗料を利用するメリット
アクリル塗料はその耐久性の低さから外壁塗料に使用される機会が減ってきていると説明しました。しかし、現在でもアクリル塗料の特性を活かせる場合があり、さまざまな場所で使用されています。ここではアクリル塗料のメリットについて解説いたします。
低価格で施工できる
価格の低さはアクリル塗料の最大のメリットといえるでしょう。現在の主流であるシリコン塗料と比べて半値から3分の1程度で施工できます。耐久年数は短いですが粗悪な塗料というわけではないので、短期間で外壁を変えたい方などには向いているのです。
塗りやすく失敗が少ない
アクリル塗料は、1液型の塗料と呼ばれる水か溶剤で溶かすだけの塗料です。ホームセンターなどでDIY用として販売されている多くの商品がこのタイプになります。塗りムラが少なく職人さんも使い慣れているため失敗が非常に少ないことが特徴です。
透湿性が高く発色も良い
アクリル塗料は塗膜に透湿性があるため、軒天井などの湿気がこもりやすい場所への塗装によく使用されています。さらに油性のアクリル塗料は発色が非常によいのでご希望の鮮やかな色を再現することが可能です。
外壁塗装にアクリル塗料を利用するデメリット
アクリル塗料はほかの塗料に比べると価格が安いです。そのため、価格が安い分、耐久性が低くても頻繁に塗り替えができるのでコストパフォーマンスが高いように感じます。こちらでは実際のデメリットについて解説しましょう。
耐久性が低くコストパフォーマンスが悪い
外壁塗装にかかる費用は、塗料のほかに足場代や人件費などがあります。これらの費用はトータルコストの大部分を占めており、いくら塗料が安くても長い目で見たときに圧倒的にコストパフォーマンスが悪いのです。
透湿性が高すぎる
アクリル塗料のメリットでもある透湿性の高さはデメリットでもあります。とくに海や川といった水辺近くのお家では湿度が高いため、アクリル塗料はおすすめできません。また、日本では梅雨がある地域がほとんどなので大きなデメリットといえます。
外壁塗装にアクリル塗料を利用する場合の注意点
アクリル塗装は耐久性が低く透湿性が高いので、外壁塗装にはあまり向いていないということを前提に、使用する場合の注意点をお伝え致します。
クラック(ひび割れ)が生じやすい
一般的にアクリル塗料の塗膜は、クラック(ひび割れ)ができやすいということからも耐久性が低いとされています。しかし、弾性アクリル塗料という種類の塗料であれば、伸びがよいため、クラックの発生を通常のアクリル塗料に比べて防ぐことができるのです。
さらに壁の素材に合わせて塗料を工夫する腕のよい職人さんであれば、モルタル壁といった建築後しばらくの間伸縮する性質をもった壁を使用する場合などには、外壁がクラックすることを見越してあえてアクリル塗料を使用して後から違う塗料を上塗りしやすいようにすることもありますので、用途によってアクリル塗料は活躍します。
屋根には不向き
アクリル塗料での塗装は、屋根には不向きです。屋根というのは太陽光、雨、風などの影響を直に受けるので、建物の中でも最も塗装の劣化が激しい部分になります。アクリル塗料の耐久年数が5年とした場合には環境が厳しい屋根の塗装に使用すると耐用年数はさらに短くなるのです。
さらには屋根の塗装が耐久性を失ってしまうと、屋根自体が劣化し最悪の場合雨漏りにつながる恐れまであります。その場合、多額のリフォーム費用がかかってしまうので、屋根だけは耐久性の高い塗料を選択するようにしましょう。
まとめ
アクリル塗料はその安さゆえに悪徳業者が使用する場合もあります。新築で家を購入予定の方は外壁塗装にどういった種類の塗料を使用されているのかを確認するようにしてください。また、大手住宅メーカーではアクリル塗料の性質上、屋根用のアクリル塗料というものは発売されておりません。もし屋根にアクリル塗料を使用している住宅を見つけた場合には購入を控えるなど細心の注意が必要でしょう。